1990年代、カセットテープの次のメディアとして登場したのが、フィリップスの提唱するオーディオカセットサイズのデジタルテープ「DCC」と、ソニーが提唱した小型のカートリッジ入ディスク「MiniDisc(以下MD)」でした。
当時、オランダ人の友人はDCCが勝ち残ると主張し、日本人の私はMDが勝利すると主張しました。カセットとの互換性を重視して、DCCプレーヤーは過去のテープ遺産を活かせるようにデザインされていましたが、あっという間に市場から消えてしまいました。一方で勝ち残ったかに見えたMDでしたが、21世紀をまたいだころからはCD-Rが台頭、そしてAppleのiPodの登場で、その使命を終えてしまいました。
TDK Recording Media Europeは、欧州にいち早く製造ラインを導入。当時日本では導入していなかった黒シャッターや3色パッド印刷機も入って、日本よりスゴい製品を作るぞと、欧州スタッフも盛り上がっていました。
そんな中で生まれた欧州市場専用の「XS-iV(エクセッシブ)」は、最新の製造ラインを駆使したクールなデザインのMDとして、ベーシックラインだけでなく、期間限定でイタリア人アーティストたちを起用したデザインラインも奢った、かなり尖った商品となりました。
・3色パッド印刷 ・ブラックシャッター(第2期より導入) ・透明上下色違いシェル ・シャッター裏印刷 ・限定ナンバー入り など、その後にコモディティ化していくMDでは考えられないようなデザイン仕様は、今でも新鮮さを保っています。
● MD XS-iV ベーシックライン:
・企画、アートディレクション:井澤 正(TDK Recording media Europe)
・実施デザイン:山本秀夫(ottimo DESIGN)1999年ごろ
● MD XS-iV デザインライン:
・企画、アートディレクション:井澤 正(TDK Recording media Europe)
・実施デザイン:Bruno GREGORI 1999年ごろ