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CDing1・CDing2

音楽の録音メディアとして、1960年代から2000年代まで長い間親しまれてきたのが、コンパクトカセット、いわゆるカセットテープです。
その歴史をたどると、テープの磁性体による音質競争から次第にカセット構造での争い、そしてケース戦争へと時代が移り、21世紀に入っての終焉期には価格競争とともに、音質ではなく付加価値でどう他と差別化するかが焦点となりました。
写真のCDing1、そして姉妹品のCDing2は、そんな時代に生まれた「最後のTDKカセット」です。

ハーフに転写印刷をすることで、従来のパッド印刷に比べて格段のグラフィック表現が可能になったこともあり、その技術を十二分に活かすためにフラットな半透明乳白ハーフにCDing1はグラフィカルな動物モチーフを、CDing2は幾何学模様のパターンをはんなりと印刷しました。

ラッピングフィルムとインデックスカードにもタイムバリエーションごとに同じモチーフと 色の柄を用いることで、透明ケースの肉厚と包装の微妙なズレを利用して、モチーフや柄がモアレのように奥行き感を演出するように工夫しています。


当時、購買年齢層の低かったCDing1はカワイイ雑貨感覚で、少し大人感覚のCDing2はオシャレアイテムとして親しんでもらいたいという気持ちを込めたこのレイヤードグラフィックの考え方は、その後に商品化されたMD [ho](ほっ)にも採用し、好評を博しました。

おかげさまで、2002年の発売から9年間の長きにわたり生産され、2011年の12月にタイ工場が洪水被害もあって生産終了するまで、名カセットAEとともに「TDKのカセットテープ」の最後を締めくくりました。

<写真は、TDK歴史館の展示品を撮影したものです。>


WORKS

● CDing1・CDing2:
・アートディレクション:井澤 正(TDK)
・実施デザイン:高橋 敏(IFF COMPANY)2002年